ごあいさつ

札幌市ACSネットワークの取り組み

札幌市の循環器救急疾患患者の迅速な救急病院搬入による救命率向上を目的に札幌市内の多数の病院の協力の下に、新たな札幌市ACSネットワークを作りH22年4月1日から稼動しました。従来の呼吸器・循環器2次救急に加え、このシステムの運用により更に迅速な循環器救急患者の病院搬入と治療開始が可能になり、札幌市民の循環器疾患の死亡率低減に寄与するものと考えています。

代表世話人交代のご挨拶

平成30年4月より、前任の竹中孝先生の後を受け、札幌市ACSネットワーク代表世話人を仰せつかりました。これまで副代表として、本ネットワークの立ち上げから参加させていただいております。この間、札幌市消防局や行政・札幌市医師会との連携も深め、循環器救急患者受け入れに関しては目覚ましい改善が認められ、搬送時間が大幅に短縮されてきました。まずは関係各位のご協力に心より感謝申し上げます。
今後は熱い思いをもって設立に貢献された村上前代表、それを引き継ぎ尽力された竹中前代表が作り上げてきた基礎を固め本ネットワークのさらなる結束、継続性を高めていくことが私の役割と認識しております。
何卒変わらぬご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
本ネットワーク救急搬入の全例調査も引き続き継続し、学術的な評価・検証をしっかり行い、更なる札幌市民の救命・治療成績向上に努めることはもちろん、これにより札幌市のみならず、全国の地域にも情報提供を行い貢献していきたいと考えております。
改めてのお願いとなりますが、本ネットワークの活動は、全て寄附によって賄われております。札幌市医師会や行政にも参加していただいておりますが、本会への予算はつかず、ACS救急当番は完全に参加病院のボランティア活動によって支えられております。しかし、啓発活動や学術活動はそうは行きません。このため、皆様の浄財をご寄附頂き、活動を末永く継続したいと考えております。本会の意義と諸般の事情をご勘案戴き、深いご理解、ご寄附を賜りたく、何卒、宜しくお願い申し上げます。


平成30年4月
札幌市ACSネットワーク代表世話人 札幌厚生病院
五十嵐 康己

札幌市ACSネットワーク設立について

北海道循環器病院
村上弘則

2001年に、普段から循環器救急患者を受け入れている病院が集まって、「臨床心臓血管病研究会」という名前の研究会を立ち上げました。その会で2003年に発生した札幌市の急性心筋梗塞の実態を調べました。当時、地方都市や地域での急性心筋梗塞発生数を調べた報告はありましたが、札幌市の様に人口が150万人を超える大都市で急性心筋梗塞の発症実数を調査した報告はありませんでした。2003年当時の医療環境を振り返ってみると、急性心筋梗塞を含む冠動脈疾患予防の薬剤(アスピリン、脂質異常改善剤など)が一般的に使用されて久しい状況でした。また、急性心筋梗塞に対する緊急カテーテル治療も循環器救急受け入れ病院では、普通の診療行為の一つと成っていました。さらに、札幌市医師会を中心とした救急体制が整い、循環器救急患者を受け入れるシステムが確立されていました。このため、調査前は急性心筋梗塞の発症実数、及び、その死亡率は低いと予想していました。しかし、実際に調査して見ると、札幌市の全人口に対する急性心筋梗塞発症率はけして低くはなく、年齢とともに発症率が高くなることが分かりました。札幌市に限らず、将来、65歳以上人口が日本人の25%という超高齢化社会になると、急性心筋梗塞患者数は日本中で急増すると予想されます。加えて、私達を驚かせた事実は、札幌市の急性心筋梗塞による死亡率(12%)の高さでした。東京都には東京CCUネットワークという循環器救急患者に対応する循環器救急病院の素晴らしいネットワークがあり、1978年から活動しています。そちらのデータを参照すると、札幌市の急性心筋梗塞死亡率12%はなんと東京都の1990年代の死亡率に相当します。札幌市はこんなに環境が整っているのに、なぜ死亡率が高いのか?それが私達の共通の疑問でした。もう一つ私達を驚かせた事実は、急性心筋梗塞を発症したにも関わらず、病院を受診する際、救急車を利用した方と、自力で受診した方が、ほぼ同数であったことです。急性心筋梗塞は死を感じるような苦しさを自覚する病気です。それにも係わらず半数の方が自力で病院を受診されています。急性心筋梗塞は時間を争う病気です。発症からどれだけ短い時間で治療を開始できるかで、その人のその後の運命が決まります。自力で通常の病院受診をされた方は、それだけ、治療開始時間が遅れてしまっていた可能性があります(上記の調査結果は2008年、日本心臓病学会雑誌に掲載され、同年の日本心臓病学会最優秀論文賞(上田賞)を受賞しました。)もし、あなたが自宅で急性心筋梗塞を発症したとしましょう。胸が焼け付くような強い圧迫感を自覚します(高齢者や糖尿病の方は症状が軽い事があります)。最初何が起こったか理解できず、きっと水を飲んだり、胸をさすったりして様子をみると思います。ここで何10分も、場合によっては数時間、時間をロスでしてしまいます。それでも治らないとき、初めて救急車を呼ぶべきか悩むと思います。近所迷惑だ、恥ずかしい、主治医の先生の外来日がもうすぐだから待とうか、など、色々悩んでいるうちに時間は刻々と過ぎていきます。最終的に耐えられなくなり、救急車を呼ぶかもしれませんが、治療開始までの大事な時間を随分無駄にしました。実際、夜更けに急性心筋梗塞を発症したにも関わらず、翌日外来予約日に来院され、自分の名前が呼ばれるまで、じっと我慢して順番を待っていた方もいらっしゃいます。残念ながら、診察した時には、すでに治療有効時間は過ぎてしまっていました。私達は札幌市の急性心筋梗塞死亡率、ひいては全ての循環器疾患死亡率をより少なくするためには、循環器救急を受け入れる病院数を可能な限り多くして、発症後短時間で収容できるようにすること(冬はさらに搬入に長い時間が必要です)、そして市民の皆さんに救急車利用と循環器救急疾患の正しい知識を持って頂くための啓発活動が、死亡率を低下させるために重要と考えました。2009年から札幌市医師会、札幌市保健局、札幌市消防局の皆さんと真剣に協議を重ね、この問題を改善すべく、現在の札幌市二次救急当番システムをさらに拡充する形で、循環器救急対応病院を札幌市の各ブロックに配置する札幌市ACSネットワークを立ち上げました。このシステムの稼働で、より短時間での病院搬入、早期治療開始による死亡率低減と、必ず受け入れる体制を作れたのではないかと考えています。さらに、地域の皆さんへの啓発活動も企画・実行し、循環器救急疾患の死亡率の低下を目指しています。私達は2010年4月に産声を上げた組織です。まだまだ不備を自覚していますが、何より参加病院全てが、強い意志で循環器救急疾患治療をより早期に開始し、早く救命し、結果として死亡率を減らせるよう努力しています。皆様の温かいご理解、ご指導と応援をどうぞ宜しくお願い致します。

運営事務局

名称 札幌市ACSネットワーク事務局
設立 平成22年4月1日
住所 〒003-0809 札幌市白石区菊水9条3丁目1-17
連絡先 Tel (011) 788-3046 Fax (011) 788-3045

R2年参加病院(順不同)

現在 札幌市を4地区に分けて毎日4病院が当番病院となり、従来の呼吸器・循環器2次救急の当番病院とあわせて5病院が札幌市民の循環器急性疾患をカバーしております。

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